ICA大会出席・米カレッジストア訪問出張記2

【印象編・生活編】

1999.09.25 岡安喜三郎

 ICA大会出席米カレッジストア訪問出張報告は別記の通りです。
 これは公式記録から外れた情報や印象を中心にした報告です。

1. ICA大会開催地ケベック市はフランス語の都

 ICA大会の開かれたケベック州はケベック市を州都にし、野球の大リーグの本拠地があるモントリオール市をもつ、フランス語圏の州です。時折、独立の話の出る地方です。交通標識がケベック市ではフランス語表記でした。

 日本とケベックとの時差は現在13時間あり、ほぼ夜昼逆転したことになります。当然の如く時差ボケです。到着の翌日は朝早く4時前に目が覚めました。まだ真っ暗です。5時頃に空が白みかけ6時にはホテルや教会のアップライトも消灯しますが、その間、結構幻想的な風景が見られました。実は部屋にはカーテンがなく、安いブラインドだけです。どうしても5時頃には目が醒める、これが毎日でした。

 ケベック州政府発行ののパンフレットでは、面積はフランスの3倍、日本の5倍と紹介しています(イギリスとの比較は書いてありません)。州人口740万人、カナダ総人口の約1/4を占めます。82.8%が母語をフランス語とし、10.8%が英語、残りが様々な言語です。ケベック州の大学は、6つの私立大学の内、3つがフランス語で教える大学で、3つが英語で教える大学です。そして1つの州立大学、大学院を持つケベック大学があります。

 私たち(栗木、萩原、岡安)がコープの突撃見学に出かけた大学生協のあるラヴァル大学はフランス語の大学です。あるビルに入ってコープの場所を学生に聞きました。親切な女子学生が「私が教えてあげる」(と言ったと思う)と、栗木さんに説明を始めましたが、途中から「エクプレイン、エクプレイン、ぶつぶつ」。どうも英語は得意ではないようで、「どう言ったらいいか分かんな〜い」(といった雰囲気)。何も英語が不得意なのは日本人だけではないと、妙に納得しました。

 市内移動はタクシーですが、そのタクシー、セダンありバンありRV車あり、トラック以外の中小型車なら何でもありの感。また「COOP」表示のタクシーもあります。ラヴァル大学にはCOOPのタクシーで行きました。

2. ケベック市での生活:早朝散歩/喫煙/両替/日本食

 今でも城壁に囲まれているケベックの旧市内には古いヨーロッパの町並みと城塞(シタデル)が残っています。治安も気にしないで散歩していました。シタデルの周りは芝とクローバーの混ざった緑地帯で、リスや耳の短いウサギらしき動物が朝食の草を摂りに何匹も動き回っています。1mくらいに近づいても逃げません。

 ケベック市は愛煙家とって余り不自由ではありません。朝食、昼食、夕食、すべて喫煙自由です。ここがカリフォルニアやシンガポールとちがうところ。フランス語圏だからかも知れないと勝手に解釈。おかげでケベックでは1日2箱が維持されました。市や観光協会が配布する観光ガイドパンフのレストラン案内には、わざわざ「禁煙席あり」の表示があるくらいです。いつまで続くのでしょうかね。

 便利な両替所は市内のツーリスト・ビューローです。両替レートは1米ドルが1.45加ドルです(手数料3%)。萩原君の泊まったホテルのフロントで米ドルを両替しようとレートを聞いたら変わった言い方をされました「30%」、「えっ何のこと?」。すると「1US$=1.3C$」と書いてくれたので、分かりました(でも、レートが低いので両替はしませんでしたけれど)。レストランでも「US$40%」とか表示しています。栗木さんと私は「US$45%」表示のところに入りました。手数料もなく釣りはカナダドルになるので、両替としても使えます。そういえばICA総会の会場にも両替所がありました。国際会議・セミナーならこの位の配慮は必要かも知れません(ここも利用はしませんでしたが)。

 朝食の1日目は「10%OFF」との甘い言葉に惹かれて宿泊したカラベル・インと同経営のレストランに入りました。しかし、ブッフェ・スタイルの割には種類が少ないわ、開店してからも掃除機をビービー呻らしているわ、元々高いわ(13$)。で、翌朝の散歩がてら店の検索をしました。セントローレンス川を眼下に見下ろす旧市内の中心広場の一角にフランス風カフェの店があり、値段も安い!何といってもすがすがしい。それ以降はそこで朝食を食べていました。

 ケベックに日本食の「すしバー」があるというので出かけました。「地球の歩き方」によれば経営者はベトナム人です。店内は日本語ののれんとか提灯が並び、いかにも日本風。萩原君は焼き魚定食を頼み、他の2人は天ぷら定食を頼みました。「日本の天ぷらとは一寸違いますが」と言われたもののOKなどと言って食べてみたら、衣もつゆも甘いこと甘いこと。「製造物責任」に基づく「警告」は受けていたので今更文句は言えません。栗木さんは衣を外し、中身だけを醤油で食べていました。

 税金とサービスのこと。消費税は連邦税7%、州税8%の合計15%が物品、食事に付いて回ります。食事の場合は、サービス料もあり結局表示価格の3割増しです。ですから食事は結構高くつきますね。先のカフェの朝食の場合、1日目は税だけが書いてあったのでそのまま払って出てきました。翌日はしっかりとサービス料が加算・記入されていました!相手も、冗談じゃないと思ったかも。

3. ICA大会/ICA総会/生協委員会会員会議

 私と栗木さんのICA大会/総会参加の資格はオブザーバーです。ICA大会(Congress)とICA総会(General Assembly)、この違いは何だろう? 要はセミナーのような中身は「大会」で、ICA本体の予決算、役員選出、組織変更等々は「総会」の議題ということになります。総会は定期的に開催され(2年に1回)、大会は何か話題とか開催地の記念があるとかで開かれます。今回はケベック州のデジャルダン運動(=信用組合運動)百周年記念ということでした。

 ICA大会の前に、グローバル生協委員会の会議が開かれました。会議の正式名称は「生協委員会会員会議」です。が、参加者は、13ヶ国、1組織:
 (アジア)  日本、バングラディシュ (2ヶ国)
 (アメリカ) カナダ、ICAアメリカズ (1ヶ国、1組織)
 (アフリカ) ガーナ (1ヶ国)
 (ヨーロッパ)ベルギー、チェコ、デンマーク、ハンガリー、ポルトガル、スロバキア、
        スウェーデン、ウクライナ、イギリス (9ヶ国)
 まぁ、「グローバル委員会」とはいっても実質ヨーロッパ委員会みたいなものと言えますね。
 ICAアメリカズの参加はその中の「消費者プロジェクト(大陸委員会)」からです。そういえば、アジア太平洋地域生協委員会は影が薄かったですね、限りなく透明にも近かった。

 ICA大会最終日は連続してICA総会に。総会は、大会の閉会宣言をしたICA会長が「時間がないから」とそのまま休憩なしで総会開会を宣言する形で始まりました。大きな壇上は会長と専務理事2人だけです。副会長も執行委員も壇上にはいません。報告は専務理事が行い、質疑応答・採決は会長が一人で仕切っていました。あっさりしたもんです。

5. 青年フォーラムと「メンタリング」

 青年フォーラムは60人程度の参加。いろんな国から来ている様でした。日本からの参加が2名というのはちょっと寂しかったかも知れません。萩原君も最初はとまどっていましたが、若いからとけ込むのも速いですね。今年4月のフィリピンでの青年セミナーの参加者でこの青年フォーラムに参加した人たちは、日本生協連国際部の釈迦郡君、フィリピンNATCOのRussel君、インドネシアのFirlanaさんの3人です。ラッセル、ファーラナの両氏は、英語圏カナダ協同組合連合会(CCA)がスポンサーとなって参加したようです。

 青年フォーラムでは「メンター、メンタリング」という言葉に戸惑いました。「メンター」とは、ギリシャ神話のイサカの王オデッセイエスが自分の子供の教育を部下のメンターに任せたことに由来し、良き指導者との意味の様です(持っていった電子辞書で調べたんです)。協同組合の中で青年の成長を支援するためにはメンター、メンタリングが必要だとのことらしく「メンター会議」なるものが開かれ、栗木さんが参加しました。私はそれも「オブザーバー」で見学していました。

 「メンター、メンタリング」という言葉は、協同組合の中では聞き慣れない言葉だったのですが、カナダでは青年の協同組合参加の過程で結構使われている印象を受けました。CCAはインターンシップの一環で青年をアジアに派遣することを通例化しており、そういう活動で必要になった方策かな?と勝手に思っています。いずれにしても、日本での学生委員と専従理事・教職員理事との関係の一断面を論議するには有用な方法論として見ておきたいと思います。

6.コーネル大学のホテルと早朝散歩

 コーネル大学は、ニューヨーク州の田舎町イサカというところにあります。ギリシャ神話からとった名前だと思います。イサカでの宿泊は「THE STATLER HOTEL」です。 コーネル大学構内にあり、キャンパスストアのすぐ近くにあります。これホテルはコーネル大学ホテル経営学校の実習ホテルで、運営は、J.ウィラード・マリオットの幹部教育センターが行っています。部屋は普通のホテルと(料金も含めて)何も変わりません。

 立地面からすれば見学や訪問には大変便利なのですが、それも昼間だけ。なにせキャンパス内ですから夜は周りに全く何もないところです。そのキャンパスは山の上にあり、街へ出るのも面倒。結局夕食はホテルの2階にあるレストランとなりました。そこはフルサービスです。ここのスタッフは実習生であることがすぐ分かります。何というか、接客の間合いが良くない、の一言に尽きます。端的に言うと、ウェーターが「待つ人」になっていない。客が「ウェーター」になっている。これなら街場の一般レストランの方がよっぽど教育していると感じた次第です。

 もはや早く起きる癖がついていましたので、早朝散歩も日課になっていました。キャンパスは見晴らしが良く「風光明媚」なところです。7時頃キャンパスを歩いていると、ジョギングをしている学生に出会いました。30分程度の散歩の間に10組くらい(さすがに一人でという学生は少ない―特に女性一人は皆無)に出会いました。「グッ、モーニン」と声をかけてくる組もあります。こちらもあいさつ。とりあえず、ニコッと敵意のない顔をして。

7.コネチカット大学(UCONN)周辺にて

 UCONNのCOOPは日曜日も営業しています(キャンパス内の学生寮には一万人が住んでいます)。土曜日に会談を行い、夕食をつき合ってくれた専務のシンプソン氏も、その日曜は休日になっていたにもかかわらず「午後に合おう」ということになりました。となると、午前中が空きます。まさか教会というわけにはいきません。ホテル(といってもイン)の周辺を大須賀さんの運転で2時間近くドライブしました。実はドライブしたくてしたのではありません、場所が分からなかっただけと言えます。理由は後で。

 ビールの買えない日曜日??。夕方、ビールを買いにマーケットに出かけました。ビールの入っている棚はカーテンで覆われ、ノンアルコールの部分だけが空いています。何でこんなことをするのか分からないまま、カーテンを開けビール(6本)をレジに持っていきました。レジの人は黙ってバーコードを読みとらせました。そうしたところ、何か画面に警告メッセージみたいなものが出ています。レジ「売ることができません」「どうして?」「平日夜8時以降と日曜日はアルコールの販売が禁止されています」....だったら最初から言えよ。

 日曜日は店での販売ができないというだけで、飲んではいけないということではないらしい。「飲みたければバーかレストランに行けば」とはそこにいた客の言。確かに、数十メートル先のレストランでは酒を飲んでいました。しかも満席に近い。実は我々は夕食を中華のテイクアウトで済まし、ビールを別途買って飲もうとしていたのです。見事に目算が外れ、テイクアウトの食事をした後、ビールを飲みにレストランへと向かったのでした。

8. ナビゲーションについて

 私は車の運転免許は持っていませんが、何故かナビゲーションが好きです。実は、地図を見るのが好きとも言えます。初めての地方、外国でもでも、地図さえあれば何とか案内は可能だとの自負はあります。しかし、地図がなかった場合...

 コネチカットでは、ホテルのフロント、大学のポリス等々、場所を教えるのに、ことごとく「ルート□号を行って、ルート○号を右」だけで教えます。地図を書きません。しかも往々にして左右を間違えます、しかもその間違いが非系統的。フロントに地図はない。かくして、先の2時間のドライブになったのでした。その後知った良い情報:地図は電話帳のイエロー頁にサービス区域の説明と一緒に掲載されていました。 以上で【印象編・生活編】を終わります。


大学生協連部内報「ユニコ」に掲載

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