岡安 喜三郎
96/10/19 第9回理事会資料
96/12/15 第1回機関運営改善委員会
[I] 内局再編は大きく2つの方向からアプローチされる
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- 一つは、会員からの期待。これが決定的。
- もう一つは、事務局の仕事のしやすさ、効果性。
@ したがって、第一に、会員関係の基本スタンスの確立である。
〜行動規範として確立する。これはそのたたき台〜
1.連合会は個々の会員との気持ちの一致を図ること。
- 会員は連合会から見たら「二百分の一」かも知れないが、会員では全てなのである。「会員の痛みを我が痛みに」は、ここに意味がある。
- 「俺の意見と違う云々」「主導権云々」とは相いれない。
- 「赤字生協○○%」はよく使われるが、個別アクションのない言われた方はつらい。連合会の活動スタイルを、評価型からアクション型へ転換する。
- 『多様性にもとづく協同は、他者への配慮、寛容、人格・個性の尊重など、人と人とのあり様を基礎として、ともに協力する主体的意思によって成り立っています。したがって、「生かし、生かし合う」関係への自己変革が必要になります。そのためには学び合うこと、お互いに励まし合い、協同の心を育むことが大切なことを私たちは経験的に確信しています。』(大学生協の21世紀ビジョン、社会的使命3より)
2.連合会事業は総額主義、平均主義ではなく、貢献評価であるということ。
- 『個は全体に吸収されない。』→これが連帯。
- 事業連合の事業は、総体として会員経営に関与するが、連合会事業は個別分野の一つひとつがポイントとなる。
- 総額主義や平均主義で、連合会事業は評価しない。会員のどこに貢献しているか、この明示型の事業スタイルをつくる。
3.当事者(該当会員)不在の場での「勝手な評価」はしないということ。
- 不信感をあおる、一番質の悪い風土である。これが無くなれば、ビジョンの半分は達成する。
- 地連、連合、単協内でも、厳然と存在する。酒の場が、その温床になる場合がある。
→「情報網から外される」との不安感が、これを助長している。
- オープン性の持つ、協同の確立上の戦略性に確信を。
→「仲間内」にしか通用しない言語だったら、それこそが問題である。
4.この基本スタンスは、会員との関係で充実していくものでなくてはならないということ。
A 次に、上記基本スタンスが実践される連合会事務局のつくり方である。
〜行動規範として確立する部分もある〜
1.会員の生の情報が直接入ってくるしくみ、それに基づく連合会政策立案過程が必要。
→ 政策問題に「役員の決裁」はあり得ない(「お詫びと自己批判」より)
- 政策齟齬が生じる連合会は百害あって一利なし。連合会の事業活動や政策活動を管理するのは単位の大学生協のリーダーシップに基づく。
- 直接、店舗を見る、会員専務と話す。要望は、方向性を明確にしてメモにする。この生の情報こそが、理事会での政策判断に大きく寄与する。
- (システムもそうだが、要は人。)
- 現在検討中の連帯活動強化推進委員会は、本来の連合会は、もっと会員関係、現場関係の方に力を割くべきだとの立場から、提言をしている。人材再配置をすすめる。
2.会員に提起している諸政策(一般に、理事会・総会で決定)を率直に実践する事務局であること。
- 連合会職員は日常的には、理事会(集団としての理事会)を見て仕事をする仕組みにしたい。→ 決して専務理事や常務理事を見て仕事をするのではないということ。
- また、したがって、一人ひとりの職員は、上司に拘束されて仕事をするのではないということ。(→ヒエラルキー以前の「封建制」の打破)
- 政策問題は、上位の職位ほどコーディネーターになるはずである。もちろん、実務的にも実施能力は必要である。意見を聞くとは、仕事に落とし込むこと。技術の裏付けのない政策は、単なる『思いつき』にすぎない。(上位者が気を付けること)
3.言われて納得したら直ぐ直す(日々是自己変革)
× 実は納得してないが、「やり過ごす」(「知の技法」(東大出版会p.147)ことがある。
× 自分が理解できる範囲でなければ、分かるはずもないし行動にもならない。
× 自己防衛の意識が働けば、相手の話を理解しえない、もしくは歪めて理解する。
× 「面子」が変革に横槍を入れる。「直せばいいのに」と周りが思うことも直さない。
4.理事会で決めるプロジェクト等に予算を付ける。
- 方針を決めても、財源のは「通常決裁の範囲」というのが、おかしい状況をつくる。
→『プロジェクトを生かすも殺すも専従幹部(常勤役員)次第』ということになる。
- 予算作成の基本的あり方の見直しから入ることになろう。事務局のつくり方に連動。
→現状では、各委員会の事務局担当部局が、その会議費の予算を計上しているが、本当にそれでダイナミックな連合会活動になるだろうか? プロジェクトや委員会自体に予算を付ける仕組みを考えたい。
→委員会の設置はやはり、理事会確認ということか?(委嘱は今まで通りとしても)
- 予算は、理事会・総会で決めている。予算外支出は、その都度理事会で確認する。
- ⇒ かくして実は、「理事会で決めるプロジェクトのみに」と言うのが正しいと思われる。
でなければ、みんな“見えない”。ときどき私も。
1.前章は、再編云々の話が無くとも、すぐやらねばならないこと。
そのために:
- 内局部長会と同じ構成員を縮小させた部門会議(旧本部会議)は、いずれにしろ、どちらかが形骸化する。双方とも、構成員、会議運営を改革する。
- 職場会議の運営の改善。職員間の各種プロジェクト、タスクのチームの起案・提案は、誰でもできる、そういう組織文化に。実際に職場のメンバーで議論できること。
- 職員は誰でも職務に合わせ、理事会や各種委員会を傍聴できるようにする。←自分の職務の仕事は、自分を含めたところで決めていく、そういう組織文化に。
2.けじめをもってルールやミニマムを守ることが前提であるということ。
- 自治や協同には、規律(自主規律)が必要。つくった規定を規定として守ることなしに、何の組織をつくっても、ただルーズになるだけである。
- この文化無しに、これからの再編は、「舞い上がり」と思われておしまい。
- 「決めたルールよりも、俺(や上司)の判断」の風潮は一掃する。労務関係もしかり。
- ネットワーク組織であろうとなかろうと、総務関係の抜本的改善が必要である。→ コントローラーの役割と信頼を確保。
3.経営資産の処分に関しては、複数の提案を必要とする。政策的単眼を防ぐ良い方法。(起案に際しても、理事会への提案でも)
- 提案が1つしかないなら、「拒否権が最大の権限」となってしまう。
- 職位に関係なく同等に議論できる場をつくる。/「他者の存在」がそれを保証。
職場会議でも。
余談だが、「情報の伝達」という言葉がある。この言葉のポイントととして「この情報を誰に知らせるべきか」だけでは不十分である。「この情報を誰が何のために欲しているか」という問いが必要になる。
前者は、発信者が自分の行動への関心に留まるが、後者は、受信者との関心の違い、ギャップを認識する契機となる。コミュニケーションはどちらだと問われれば、それは一目瞭然であろう。
他の言葉にも言えるが、仕事の場面で一般レベルに押し下げて使ってしまうと、中途半端な組織が生まれてしまう。
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1.チーム活動の習熟とその運営の徹底
これも余談。情報の共有の問題。「情報の共有」は必要なのだが、これだけが一人歩きをしても、あまりさしたる効果がない。「知ってる、知らない」のレベルなら、仲良しグループが形成されるだけである。さらに、公表されてない人事や、スキャンダルめいた話に関心を持つ「情報の共有」(よくある話)なら、欠陥性さえ持つ。
共有することが、その組織やチームの方向性に重要な意味を持つ「戦略情報」の創造となるならば、情報共有化の意味が出ると思われる。それは論議だけではすすまない。<経験の共有>は、同じ「経験」でも、各人によって違った認識を持つという驚きを与えてくれる。この驚きは信頼感によって学習に転嫁する。
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「仕事は指示命令で始まり、(所定期限内の)報告で終わる」なんて言葉を新人の頃聴いたことがある。この中でも情報伝達の重要性が説かれていた。すなわち、「(受ける)指示命令は反復して確認せよ。そのためにメモは有効」と。
情報の齟齬はその昔から大問題であった。これからのチーム形成においても、情報の齟齬をなくす努力は大切である。しかし、チーム形成のポイントは「一緒に仕事をしたい」という気持ちの一致である。人は情報の共有だけで協同するわけではない。もちろん、共有なしに気持ちの一致はないが。
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【チーム活動の戦略性】
【各人情報の開示】:これが以外と出来てないことが現実である。
【情報の融合拡散】:
【戦略情報の創造】:
2.レギュラー組織、プロジェクトチーム、タスクチームの組織構成
- 各職員はレギュラー組織に「所属」するが、一定の労働時間の割合で、プロジェクトチーム、タスクチームで仕事する。いわば、ハイパーテキスト型組織で仕事する。レギュラー組織の改編が課題。それは、ユニットを想定する(7人〜10人程度)。
- その割合の計算周期単位は、週単位、数カ月単位、数年単位と想定する。短ければ、兼任形式になるし、内容によっては「内部出向」形式にもなる。いずれにしろ、同一部署にいても数年のスパンでは、幾つかの仕事をしていることになる。
- 現部長職、常勤役員、幹部の人間は、この3つの性格の組織(チーム)のリーダーとなるべきであるが、現実には、リーダーには誰がなっても良い。要するに『リーダーシップのある人がリーダーとなる。』(将来的には、給与およびその体系問題が起こると想起されるが、今、そのために躊躇して再編を送らせることはしたくない)
- これは連合会事務局だけの組織論にはしたくない。店舗にいたままでも、地域センター(下記)のプロジェクトチームで活躍することのできる仕組みがあっても良い。それは連合会と地域センター、会員との関係の中にも生まれる。
- プロジェクトチームの形成方法は別項4。
3.「地域センター」へシフトする連合会事務局構成
- 既存の内局各部が全国方針を起案するのと同様に、「地域センター」も生の会員情報を踏まえて全国方針を起案・提起することが、理事会の活性化となり、連合会総体の活性化になる。
- そのために、連合会の人材や経営資源を「地域センター」へシフトする必要がある。また、事業連合、単位の大学生協との人事交流も必須となろう。その条件整備を早急に検討する。加えて、「地域センター」は、市民生協との新しい人事交流の仕組み(システム)を形成すべき。
- その仕事を援助するために、情報ネットワークで仕事のできるインフラの整備が急務である。全ての地域センターはインターネットIP接続、ないし杉並と専用回線を結ぶか検討すべき。
- 「HSK西日本事務局」の組織は緊急であったが、一つの方法を提起している。杉並では仕事にならない連合会の仕事はまだまだあるはず。
4.理事会の3種のプロジェクトチーム、各委員会の運営
- 内局内か否かを問わず、プロジェクトチームは大きく3つの種類がある。
- A型 委託された連合会事業に付随する、定型、業務推進型プロジェクト。
- B型 環境など、課題を業務に落とし込む、諮問型、企画型プロジェクト。
- C型 常に未来を見据え、ビジョンと仕事の間を行き来する、研究型プロジェクト。
- 内局内か否かを問わず、その設置は原則として事前に理事会承認とする。例外(それでも報告事項扱い)は、A型に一部存在するのみ。理事会としては、A、B、Cの割合に意思を持って、設置を検討することが重要と思われる。
- 各プロジェクトの運営は、財源を理事会で確認することとする。その上に立って器と内容(コンテンツ)に分ければ、器は総務で一括して事務管理することが良い。今まで事務局となっていた各部は、内容(コンテンツ)にコミットする運営とする。
5.経営評価基準の運用と上記組織の管理、人材登用の仕組みとが連動する
- およそ改革は、信頼の問題である。
- 連合会マネジメントの根幹をなす。
- 経営評価基準検討委員会メンバー(理事以外も含む)の関与も重要。
- 1.大学生協自らのビジョンの実現こそ経営の目的
- 2.人と人とを結びつけ、ひととひとの発達と成長に関わる経営体へ
- 3.ステークホルダーとの関係のあり方が経営の価値基準