990621 OKAYASU
大学生協連で「決算書が分かりにくい」との意見が主に学生理事からでて、小委員会で検討しているときに、個人的に書いた文書です。最初はワザと名前を出さず、経理チームリーダーが「メモ」風に配布しました。
で、感想は、「この文書、分かりにく〜い」−−ちょんちょん。
決算書は出資者への経営成績報告文書
決算書は信用取引に必要な経営成績報告文書
決算書は企業とステークホルダーとのコミュニケーションツール(=企業会計原則)
経営活動をスムーズに進めるためのコミュニケーションツール(=管理会計)もある
決算書は出資者への経営成績報告文書
- 事業を興すには資金が必要です。法人の事業体(=企業)は借金だけの資金では認められません、一定額の出資金が必要です。(株式会社なら株、協同組合なら出資金)
- この出資金は借金ではありませんから、もし企業が破産したら出資者には戻りません。もちろん、いっぱい儲かれば出資者に利益が分配されます。ですから、出資のことを投資とも言います。(現在の株への投資というと株の売買差益の収入・損失が大勢ですが原始的意味の投資は出資のことです)
- 自分の金だけを出資金にして事業を興すのなら完全に自己責任(=個人企業)ですが、他人から出資金を募る場合は、出資の効果性を出資者に報告する責任が生じます。
- 出資者は自分の出資が保全されているがどうかを知るために、経営成績を知らなければなりません。
決算書は信用取引に必要な経営成績報告文書
- 企業活動には出資者以外も資金の提供者が存在します。こちらは投資ではなく信用取引です。現在では企業は他からモノを購入するとき現金との交換は極めてまれです、一般に後で支払うことになります。
- もし一時的に支払いの金が無いとき、銀行などから借金をして支払いにあてます。簡単に言えば、商品を仕入れたのに全然売れず、仕入れ代金の支払期限が迫ったとき、給与支払日が迫ったときです。
- しかし銀行は必ず貸すわけではありません、返済能力を審査します。その信用がなければまず借金は無理です。同時に取引先も売ってくれるだろうと信用した企業にしか伝票による品物渡はしません。
- 現代は信用取引の時代です。信用に足る企業であることを証明するためにも決算書が必要です。
決算書は企業とステークホルダーとのコミュニケーションツール(=企業会計原則)
- 前述したように、決算書は単に企業の経営成績を報告するだけのものではなく、出資者が出資の価値があるか否か、取引先が取引の価値があるか否か、さらにはそれら(出資、取引)の危険性はないかなどを判断するために必要なものです。その意味で、決算書は企業とステークホルダーとのコミュニケーションツールであると言えます。
- 決算書はコミュニケーションツールとして、その作成に一定のルールが存在しています。貸借対照表で資産の現金はなぜ左上に書かれるのかとか、損益計算書はなぜあの順番なのかなどです。人々がコミュニケーションのために、仕ぐさや発声、音から始まり、言語や絵、文字などを使うようになったように、企業のコミュニケーションに一定のルールに基づく決算書を使うようになったわけです。
- 企業会計原則はコミュニケーションのための共通人工言語みたいなもの。
経営活動をスムーズに進めるための内部コミュニケーションツール(=管理会計)もある
- 一方で「月次決算」という言葉がよく出てきますが、これは予算と実績の差異、実績の趨勢をみて、あるべき方向に舵取りをするための動機となるものです。通常の経営対策を年に汢の決算書で立てることはあり得ません。一般的には「決算単位」となる店別・部門別、法人総計を設定し、必要に応じて、日次、週次、月次、3ヶ月とかに区切って経営数値を集約し対策をとります。
- したがって、理事会ではこの管理会計手法の方式で報告がされ、論議するというのがポイントとなるはずです。
- この作成には企業会計原則が準用されるが、企業別の方言も結構大切にされます。