1. コミュニティ利益会社(CIC)制度創設に関する法案の上程 イギリス通商産業省(DTI)は社会的企業の振興を図る目的として2003年12月3日、公益会社ならぬ、「コミュニティ利益会社(Community Interest Company:以下CICと略す)」という名称の社会的企業の一角をなす会社制度を提案している。法律案としてはCIC創設を含む「会社(監査、投資、コミュニティ企業)法案」という名称で上院(貴族院)に上程されている(以下「会社法改正法案」)。会社法改正法案は2004年1月8日、上院の第二読会を済ませている。この法案の大きな二つの目的の一つが「パート2」で展開されている社会的企業の振興で、CIC構想となっている。 通商産業省によれば、その主要なポイントは、 □ CICの資産や利益の法的な「ロック(固定化)」(メンバー配分の制限)とエクイティファイナンスの上限規制 □ CIC登録の適格性審査にあたる「コミュニティ利益試験」 □ CICの活動がコミュニティ利益に役立ってきたかを示す年次コミュニティ利益レポート □ CICがその法的必要条件に従うことを保証する責任をもつCIC監査人(監査人) であるという。 通商産業省は、早ければ2005年の早い時期にCICの登録ができるよう期待を表明している。 2.チャリティおよび広義の非営利目的セクターの見直し このCIC構想は、2002年9月にイギリス内閣府(Cabinet Office)の戦略ユニットから発行された"Private Action, Public Benefit -- A Review of Charities and the Wider Not-For-Profit Sector"(「私的行動、公的利益−チャリティおよび広義の非営利目的セクターの見直し」)というレポートの「第5章 法的枠gみの改正」中で提起された。 このレポートは副題にもあるとおり、チャリティおよび広義の非営利目的セクターの見直しが動機である。レポートによれば、このチャリティを含む広義の非営利目的セクターの団体数はイギリス全体で約50万から70万団体と推定されている。内チャリティ団体は、18万8千がイングランドとウェールズの登録チャリティ団体で、その数も1990年以来毎年1,800団体の割合で増加してきた。その他に膨大な非登録チャリティ、例えば教会チャリティ、1,000ポンド以下の収入の極小チャリティなどが存在する。 レポーgでは、このチャリティおよび広義の非営利目的セクターが決定的に重要なサービスを提供しコミュニティを強化していることを認め、最近では収入も増え、団体数も被雇用者も多くなったのだが、その潜在能力をフルに発揮させるためには未だ多くの障壁が存在しているとしている。どのような問題意識であったか?を拾ってみると、 □ チャリティ資格を決める現行の定義(例えば4つの目的)は、必ずしも社会が公益として思い浮かべる諸目的を網羅しておらず狭い。 □ 取引・投資の制限規定は、チャリティ団体の起業活動を禁止し、社会的^ョの制限規定はチャリティ団体のアドボカシーの役割を限定的にしている。 □ 合併しようとするチャリティ団体に障壁が存在する。 □ チャリティおよび広義の非営利目的セクターによって行われる活動の全領域に見合う組織形式メニューが不完全にしか提供されていない。いくつかの法形態は改訂の必要がある。 □ チャリティおよび広義の非営利目的セクターについての理解できる情報、関連情報、比較情報が十分ではない。このセクターの透明性と説明責任とともに、世の中の理解が必要である。 □ このセクターのいュつかの団体は、必要な励みとなる刺激や、成果を測定し強化する支柱が欠落している。 □ チャリティ資格更新のための適切な仕組みが欠落しているために、法律が経済的・社会的発展に歩調を合わせられない。 □ チャリティ委員会の法的諸決定に対する利用し易い異議申し立ての仕組みが欠落しているため、団体は現行では法廷しか頼るものはない。それは団体の資力を超えているかも知れない。 □ 諸規則は小さな団体および活動開始の団体にとって余りにも煩わしいのに関わらず、資金調達のような他の領域では効果的でない。 等々が紹介されて、1) チャリティ法の現代化、2) チャリティ団体や社会的企業に有効な法形態の枠組みを改善すること、3) 社会的信頼確保のために運営の説明責任や透明性の促進、4) その他が提言された。その後、特に1) に対応して、2003年7月にチャリティ法を所管する内務省からの見解が出された。これは"Bringing Charity Law into 21st Century"のプレスリリースで見ることができる。一方、2)に対応しては2003年3月に、通商産業省から"Enterprise for Communities: Proposals for a Community Interest Company"(「コミュニティ企業:コミュニティ利益会社の提案」)が発表され、冒頭のような法案の上程になった。以下、CICについて、DTI(イギリス通産省)のQandAに沿って紹介する。 3.イギリスDTIの「社会的企業」概念と期待 コミュニティ利益会社(CIC)に入る前に、イギリス政府(通産省)の言う「社会的企業」概念とそれへの期待について見てみよう。イギリス通産省は前述の内閣府のレポートより2ヶ月前の2002年7月に、ブレア首相の序文入りのパンフ「社会的企業:成功への戦略(Social Enterprise: a strategy for success)」(以下「パンフ」)を発行した。それは社会的企業についての啓蒙活動と支援が目的である。 パンフは「社会的企業とは、株主や所有者の利益最大化の要求によって駆り立てられるのではなく、第一義的に社会目的を伴った事業体で、その剰余は原則としてその事業体において、またコミュニティにおいて、その目的に沿った再投資を行う事業体のことである」とし、「社会的企業は多様で、地域コミュニティ企業、社会的作業所、協同組合のような互助組織、そして全国規模、国際規模の大規模団体を含゙。アれらが共通して持っているものは、社会・財政の二重の帳尻(ある場合には三番目に環境目的)を同時に満たすことへの積極的関与である」と述べている。 このように、イギリス通産省では、EMESの提案している社会的企業の定義「四つの要素と五つの指標」(拙稿「社会的企業ノート(1)」協同の發見131号参照)よりも緩い定義で社会的企業を捉えている。 パンフでは「社会的企業は広範な社会問題、環境問題に取り組み、経済のあらゆる場面で活動する。公共の利益達成のために事業解決策を活用することによって、政府は社会的企ニが、力強く持続可能で社会的包容の経済を創造するのに役立つはっきりとした価値ある役割を持っていると信じる」と述べ、「規模や起源、性格がどうであろうと、社会的企業は以下の活動の一つないしそれ以上を追求していくであろう」と活動内容を紹介している。 □ 社会性を持ち、又は環境に良い商品・サービスの提供(例えば、リサイクル、チャイルドケア) □ 社会性を持ち、又は環境に良い商品・サービスの提供(維持)の取引(例えば、チャリティの取引部門) □ かなりの社会的利益を持った仕事の過程と方法の活用(例えばA協同組合、社会的作業所、フェアトレード団体) また、パンフでは「社会的企業は仕事の多様な方法を採用する。政府は成功する社会的企業は以下の性格を包含すると信ずる」と、 □ 取引を通じた独立と自治の獲得; □ 起業家的、革新的、危険を引き受ける行為; □ 柔軟な融通性のある実践; □ 顧客・コミュニティ中心; □ ステークホルダーの関与; □ 民主的参加型マネジメント; □ 社会的に、環境的に、また財政的に結果を出すこと; □ 商品やサービス販рゥら収入を得て、財政的存続可能。 のような性格を紹介している。 4.コミュニティ利益会社(CIC) コミュニティ利益会社(CIC)提案は、以上2つの文脈から理解することができる。すなわち、イギリス内閣府の戦略ユニットから発行されたレポート、およびイギリス通産省の「社会的企業」パンフである。 会社法改正法案第2章第23条では、コミュニティ利益会社(CIC)という新しいタイプの会社が存在すべきであるとし、株式会社(CLS)や出資金を持たない保証有限責任会ミ(CLG)が、CICとして形成されたり、それになることができるし、また、出資金を持つCLGはCICになることができる、と規定している。 通産省の説明によれば、CICとは、自らの利益や資産を公益のために活用しようとするいわゆる社会的企業向けに、その一つとしてデザインされた、新しいタイプの会社である。CICは容易に設立できるようにし、会社形式としての柔軟性と確実性をすべて備えながらも、地域社会の利益のために努力することを確実にさせる特別の特徴を備える。それらは、 □ CICの資産や利益の法的な「ロック(固定化)」iメンバー配分の制限)とエクイティファイナンスの上限規制 □ CIC登録の適格性審査にあたる「コミュニティ利益試験」 □ CICの活動がコミュニティ利益に役立ってきたかを示す年次コミュニティ利益レポート □ CICがその法的必要条件に従うことを保証する責任をもつCIC監査人(監査人) であると、政府は説明し、これらを社会的に保証するために立法措置が必要であると述べている。 その上にたってCICは、環境改善、コミュニティ移送、フェアトレード等のような社会目的を追求する団体である。社会的驪ニは、n域の再生において、地域コミュニティへの権限付与、そして地域レベルで新しく革新的なサービスの提供においてますます大きな役割を果たしている、と説明している。 政府はCICが病院や学校のような核のセクターにおいて本質的なサービスを提供すべきことは意図していないと言う。むしろ、CICは、児童保護の提供、社会目的を持った住宅提供、レジャーやコミュニティ移送などの領域で核となる行政サービスを補完する、地域コミュニティのニーズへの対応を発展させるべきである、と主張する。 5DCICの特・1:資産ロックとエクイティファイナンスの上限規制 コミュニティ利益会社(CIC)の特徴の第一は、資産ロックとエクイティファイナンスという一見矛盾する2つの内容の共存構想である。 資産ロックとは、CICに適用予定の資産や利益のメンバー配分の禁止条項のことでである。これだけなら単なる非営利団体という理解になってしまうが、CICは会社としての性格(柔軟性と確実性)を保持するのがポイントなので、資金調達は重要課題である。他の社会的企業のように、CICは助成金や寄付、市中の有名銀行や他の機関からのリ入など、様々なところから資金調達することになる。イギリス政府はエクイティファイナンス(株主資本の増加による資金調達)活用の制限を提案している。それは適度に上限規制された投資家向け株発行を許容する法案である。逆のアプローチをすれば、CICは会社ではあるが、非営利目的(not-for-profit)の会社である。株主(出資者)に対する利益無制限分配の考えは非営利目的の会社の考えと根本的に矛盾する。したがって無制限の残余財産処分権は規定されていない。 政府の意図としては、上限はコミュニティ利益への集中を崩さずノ、CICの投資活用の許される水準に設定されるべきであるとしている。また、資産を増やすというCICが求める柔軟性と意味のある資産ロックの必要性の間に妥協点が見いだせると力説している。 したがって、CIC構想における資産ロックは法律で決められ、CICがその資産や利益を、株発行で許される範囲を除いて、メンバーに配分することを禁止することになる。政府の説明では、資産ロックは、CICをコミュニティ利益の追求の際に、効果的な資産の活用を妨げはしないとし、たとえば、CICは資産を資金調達の担保として利用することができるとしてい驕B監査人は資金ロックの継続を保証する責任を負い、それが破られつつあると感じたステークホルダーは監査人に行動を起こすよう要求することができる。 6.CICの特徴2:コミュニティ利益試験 第二の特徴は、コミュニティ利益会社(CIC)登録の適格性審査にあたる「コミュニティ利益試験」である。 政府によれば、コミュニティ利益はCICの心臓部分であり、コミュニティ利益試験は、このCICを他の非営利団体から区別し特徴づけるものであると位置付けられる。ある団体や会社がCICになるためには、この試験でCIC監査人を満足させる必要がある。すなわち、一定の資格を持った人によって、その目的がコミュニティやより広い公共の利益に見合っていると見なされる必要がある。また、その恩恵が一部の人に制限されることのないように保証されることが求められる。 となると、政党や運動団体との関係が問題になる。すなわち、政治団体、運動団体はCICになることができるかという質問が成り立つ。ある具体的な政治目的は有益か否かなどという論争に監査人が巻き込まれないよう保証するために、政党はCICになることはできないし、子会社ニしてCICを設立することもできない、と提案されている。また、政党や運動を支援することを目的とした団体もCICになることはできない。 7.CICの特徴3:年次コミュニティ利益レポート の第三の特徴は、どの様にしてCICの活動がコミュニティ利益に役立ってきたかを示す年次コミュニティ利益レポートの義務化である。 これは、CICが公共の利益に沿って活動していることを、一般の国民や投資家などがどの様にして知るのかという質問に対する答えとなっている、というのが政府の説セである。CICはその活動で、コミュニティに対しどの様にして期待に添った結果を出しているか、またどの様にしてステークホルダー(利害関係人)たちを活動に巻き込んでいるか、このような趣旨の年次報告書を監査人に提出することになる。 コミュニティ利益の保証にあたって、年次報告書の中にステークホルダーの巻き込み記述が条件にされるということは、日本の「公益」論議にあっても極めて示唆的である。ただし、イギリスのステークホルダーの巻き込みはガバナンスレベル(統治レベル)ではなく、マネジメントレベルでの追求ナあるかも知黷ネい。これは後述する。 この第2と第3の特徴を以て、CICがコミュニティ利益に貢献し続けることを保証する。 8.CICの特徴4:CIC監査人(レギュレータ) 第四の特徴は、コミュニティ利益会社(CIC)がその法的必要条件に従うことを保証する責任をもつCIC監査人(レギュレータ)の存在である。 会社法改正法案24条でCIC監査人を置くことが規定されている。監査人は通産省の大臣から指名され、通産省企業局と密接に関係して仕事をすることになる。 通産省の説明によれば、過半数のCICは、普通の会社が企業局と関係を持っているような関係をCIC監査人と持つことになる(すなわち、年次報告書に従った記載)。CICの規制は、チャリティ団体に必要とされているような極めて厳しい規制は必要ないと言う。そういう意味で、政府はCICに対する規制は「軽いタッチ」であると説明している。 しかしながら、監査人はステークホルダーからの苦情を調査することができ、コミュニティ利益で活動していないかどうか、資産・利益ロックが遵守されていないかどうかを見つけだす活動の権限を持っている。これらの権限には、役員たちを交代させ、また会社を解散させる権限が含まれるとしている。 9.CICとチャリティ資格団体 一つの団体・会社が、CIC資格とチャリティ資格を同時に取得することはできないとする。すなわち、新しい組織はCICかチャリティのどちらかを選択しなければならないとする。一方で、CICはチャリティ団体に変更・転換できるのか?逆の転換は可能か?の質問に対して通産省は、「技術的にはCICがチャリティ団体に転換するのは可能であるし、逆も可能であるが、そのことを薦めるつもりはない」ようである。通産省は以下のように説明している。 チャリティ資格は、チャリティ目的の促進を求める多くの人たちにとって正に当を得ていることに疑いはない。そして、公益のために活動し(チャリティ資格にふさわしい)ほとんどの団体はチャリティを選択するであろう、とりわけ財政優遇のために。 CICを設立したい人々の類は概して、チャリティ以外の形態でためになることをしたいという企業家になるであろう。これは以下のような理由による。 1. 彼らは、非チャリティの会社形態の相対的自由さを持ちながら、しかし非営利目的資格の明白な保証を伴ってコミュニティの利益のために仕事をしたいと思っている。 2. チャリティ団体の理事メンバーは、定款が支払い権限を規定し、チャリティのベスト利益にかなうとみなされたとき、またそのときのみ報酬を受けることができる。そのことは一般に、報酬を受け取りたい社会的企業の創設者は、理事になるわけにもいかず、その団体の戦略的コントロールを時には容認しがたいボランティア理事会に引き渡さなければならない。 3. CICに適用されるコミュニティ利益の定義は、チャ潟eィ団体向けの公益テストより幅広くなろう。 4. CICは本質的に社会的企業と同一視される。幾つかの団体は、結果的にこれがチャリティ資格に比べてより適当なものと感じられる。 10.CICと協同組合 通産省は、コミュニティ利益会社(CIC)の提案パンフの中で、「CICに代わる選択」として。チャリティ資格以外に、産業・共済組合(Indusrial and Provident Societies)を紹介している。非営利目的企業を会社としてではなく、産業・共済組合として立ち上げることを選択するというものであるBもちろん、その中には、真正協同組合(Co-op)と、コミュニティ利益組合(BenCom)の登録の選択がある。前述した社会的企業のパンフの中では、IPS法の改正案が議員立法で出されていることを紹介していて、その法案の中には、BenComに対する資産ロック提案もあるという(p.12)。 「CICはI&PSにとって代わるのであろうか? そのようなことはない。I&PSの伝統はこの国で大変強固である。I&PSは、その会員組織を通じて民主的な説明責任を提示することができる。イギリス政府は協同組合セクターを強力に支援しており、しかも法形態としてのI&PSの重要性を認識している。したがって、I&PSの登録を現代風にするのに役立つ議員立法の法案を支持した。」(通産省のQandAから) この点からは、I&PS真正協同組合の「コミュニティ利益協同組合」化は想定されていないのであろう。さて一方、周知のようにイギリスの協同組合の設立はI&PS法(産業・共済組合法)のみが根拠法ではなく、前述した保証有限責任会社(CLG)として設立した各種労働者協同組合、協同組合事業連合、ケア協同組合、株式会社(CLS)として設立した各種労働者協同組合などが存在するのでA先に言及した法案第23条によれば、「コミュニティ利益会社」としての「コミュニティ利益協同組合」の設立が「形式的」には可能になると思われる。 11.ステークホルダーとCICガバナンス 最後に、「コミュニティ利益の追求」と、「コミュニティ利益会社」の統治形態(ガバナンス)について焦点を当てる。特に、提供されるコミュニティ事業に利害関係のある人たち、グループ(各種ステークホルダー)の参画に関する制度を見てみたい。 ヨーロッパの協同組合制度の中に「コミュjティ利益の追求」と銘打った協同組合制度のあるフランス、イタリアを見ると、 ・ フランスの"Sociéte Coopératives d'Intérêt Collectif":「コミュニティ利益の協同組合」の意、英文では"cooperatives of general interest"を使用; ・ イタリアの「社会的協同組合」:国法381/1991第1条で「地域社会の普遍的利益(l'interesse generale della comunità, 英訳では"the general interests of the community")を追求する協同組合」とある であり、その統治レベル(意思決定の仕組み)は、マルチステークホルダーズ型の協同組合である。コミュニティ利益の追求を謳う場合、そのコミュニティの構成員は決して一般的な「不特定多数」となるわけではない。顔の見えるコミュニティの構成当事者がコミュニティ利益を追求する事業体のステークホルダー(利害関係者)となり、多くの利害関係者グループを形成している。したがって、コミュニティ利益を追求する事業体にとっては、そのコ~ュニティで生活し、活動する多様なステークホルダーの参画は決定的である。 イギリス通産省の説明によれば、CICは最良実践の問題としてそのステークホルダーを巻き込んだ運営が奨励され、どの様にそれを実践したかCIC監査人に報告することが求められる、としている。換言するとステークホルダーの巻き込みは「義務規定」ではない、と読みとれる。 実際に個々のCICをコントロールするのは私企業やチャリティ団体と同じように、取締役会を指名する人たち、すなわちステークホルダーになる人たちということになる。実際の細かい仕組みはそれぞれのCICの問題であるとされるので、協同組合にどの様に適用されるかは今後の課題であろう。 略 語 CIC:Community Interest Company. コミュニティ利益会社。 CLG:Company Limited by Guarantee. 保証有限会社。株式会社に対比される会社概念。 CLS:Company Limited by Share. 株式会社。 DTI:Department of Trade and Industry. イギリス通商産業省。 EMES:「ヨーロッパの社会的企業の出現(L'émergence des entreprises sociales en Europe)」プロジェクトから名付けられた研究ネットワーク。1996年設立。 I&PS:Industrial and Provident Society. IPS. 産業・共済組合。産業・節約組合、産業および節約組合とも訳されている。 参 考 ○ Social Enterprise: a strategy for success, Department of Trade and Industry, UK, July 2002 ○ Private Action, Public Benefit/ A Review of Charities and the Wider Not-For-Profit Sector, Strategy Unit, Cabinet Office, UK, September 2002 ○ Enterprise for Communities/ Proposals for a Community Interest Company, Department of Trade and Industry, UK, March 2003 ○ COMMUNITY INTEREST COMPANIES (CICs), http://www.dti.gov.uk/cics/ ○ COMPANIES (AUDIT, INVESTIGATIONS AND COMMUNITY ENTERPRISE) BILL, http://www.dti.gov.uk/cld/companies_audit_etc_bill/ ○ Model Rules For Co-operatives, http://www.cooperatives-uk.coop/ |