ILO127号勧告見直し関連会議
報告:日本労協連 岡安喜三郎

「ILO127号勧告見直しに関する、国際自由労連アジア太平洋地連(ICFTU-APRO)・ICA太平洋アジア太平洋地域事務局(ICA-ROAP)の合同会議」

日程:2001年3月15日〜17日
場所:シンガポール
 

開催背景

昨年2000年10月に、「雇用創出、貧困克服、人的資源開発に関する東南アジアおよび東アジア地域ワークショップ(マニラ、上記2団体共催)」が開催され、3つの勧告が話題になり、2つのメンバー制組織が、社会的経済的問題に対応する場合、共に緊密で有効な協力をしていくことを確認した。
その勧告の内の一つが、ILO127号勧告見直しで、これは2001年6月のILC(国際労働会議、ジュネーブ)に配布される。それに向けて、ILO-APROとICA-ROAPは、上記合同会議の開催を合意した。
このフォローアップ企画の目的は以下の通り;

  1. ILOイエローレポート(ILO レポートV(2))の厳密な審議
  2. イエローレポートの有益性とギャップの確認
  3. 今年6月のILC(国際労働総会)準備に向けて提案と行動計画の展開
  4. 提案されている2組織の共同パイロットプロジェクトに関する参加者の見解と意見を探る

参加者:

  • 自由労連会員代表:チャン・ギシン氏(フィリピン)、シバ・ゴパル・ミシラ(インド鉄道労組)、シンガポール
  • ICA会員代表:グラニッツ・P・チュア氏(フィリピンNATTCO)、ビディシャルク(インド)、リョウ・ペン・クィ氏(シンガポールSNCF)、李實官氏(韓国農協中央会)
  • ILO代表:マーク・レビン氏(協同組合支局)、テレシッタ・デ・レオン氏(アジア太平洋地域コーディネータ)
  • 自由労連APRO:鈴木のぶゆき氏(事務局長)、他
  • ICA-ROAP:ロビー・チュルス氏(事務局長)、ロミー・ベラミン氏、小澤重久氏、岡安(ICA-ROAPの要請により)、ヤフダ・パズ氏(ICA理事、イスラエル)
     
  • 討議メモ

    マーク・レビン氏プレゼンテーション(ILO協同組合支局)
    <89回総会に向けたレポート>

    • 127号勧告は、脱植民地、国家支援型発展モデル、 、 。
      第1分冊が白のレポート、第2次分冊が黄のレポート
    • 2000年の問題
      ・ グローバル化、規制緩和、自由化
      ・ 市場主導型の発展モデル
      ・ 組合員志向の協同組合
      ・ 「運動」から「運動」へのモデル
    • 新文書(新勧告予定)の特徴
      ・ 普遍性:全世界に通用する文書として
      ・ 脱オフィシャル:国家の役割の制限
      ・ アイデンティティ:価値、倫理、原則に基づく協同組合事業の認識
      ・ 効果:市場競争に耐えうる協同組合の振興
    • 経過と今後の進展
      ・ 2000.01: 白レポート(アンケート付き)
      ・ 2000.08: 95ヶ国からの回答
      ・ 2001.01: 黄レポート送付
      ・ 2001.06: 国際労働総会(ILC)第一次討議
      結論案は一文ごとに論議、2週間かけてじっくりと。
      ・ 2002.06: 国際労働総会(ILC)第二次討議

    マーク・レビン氏の報告に対する3人のコメント

    * Dr.ヤフダ・パズ(ICA理事、イスラエル)
    * ビディシャルワ(ICA-ROAP、インド)
    * Mr.シバ・ゴパル・ミシラ(インド、鉄道労組)

    (まとめ)

    1. 規制緩和が労働組合、協同組合にもたらすことに認識(質も)
      ex. 東南アジア:規制緩和の中での協同組合の発展と経済の低下
    2. 社会変化
      ex. 社会保険、信用――――労働者福祉的なもの
    3. 変化に対して、国にコミット
      ex. トレーニング、就業保証、生活保障などの討議
    4. 行政、協同組合、労働組合間の関係性

    「結論案」の討議(項目ごとに討議)

    討議メモ(討議は英語版で行った)

    ○ ICAは(対案を含めて)意見を言わないのか?(パズ氏)
    ・ 事務局はICAステートメントを会員が生かすことを支援するのが立場なので、特に意見を言わない(ロビー氏)
    ○ この会議の結論は6月のILO総会に生かされる。(ILO、レビン氏)

    ○ 5に自助とか社会的関与入れたら?(フィリピン)
    ○ 4のfに関係(ロビー)
    ○ 協同組合の価値として重要!
    ○ 「協同組合の定義はICAのより実践的かも知れない」(岡安)
    ・ ILOの定義に賛成と言うことか? →「次の原則にも関わるが、剰余の配分だけではなく、リスクの負担が明記されてなければならないと思っている。コープ札幌では『組合員はリスクを負担してくれない』との幹部の認識が深刻な経営状況のディスクロージャーを遅らせた。労協ではいずれにしろ組合員が負担を分かち合うしかないのだから、ここを明記する必要がある」

    ○ 本来貢献する組合員だけでなく、社会にも責任をもつ。Beyond membershipだね。(フィリピン)
    ・ この議論(社会貢献)は、協同組合と会社に違いがないのではないか?
    ・シェルの会社がグリーンピースになるかも(笑)
    ○ あまり細かくしても、言葉は発展のレベルで理解が変わる。Ex. peaceなど(パズ氏)
    ○ 社会福祉、社会的責任は価値として重要
    ・ (このあたりの論議は1992年当時のベークさんの報告・論議の内容と同じ、岡安注)

    ○ 8の「disadvantage group」
    ・ disableのような」シンプルな単語にならないのか
    ・ women
    ・ poverty これはラインを決めないとね。で。Othersでよい。
    ○ "like any other form〜"では協同組合の持ち味がないなぁ。

    ○11:ICAとICFTUの協力拡大を(パズ)
    ○協同組合は商品を安く提供すべき(ICFTU)
    ○韓国では労働組合と協同組合とは良い関係であるが、農村地域では労組が弱い。
    ○とくに11のcが重要だ(ICFTU)
    ○労働組合には「クリティカル・ボイス」の役割もあるだろう。
    ○ ここでWTOの話になる。

    ○ 12のNon Government agency〜政治的でもあるし、関係作りも大変だね。
    ○ フィリピンにはCOOPの政党もある。ミンダナオでは多くのNGOが協同組合をつくっている。(タイもそうだ)
    ○ (a)はマルチ・ステークホルダー・モデルの経営と見れば分かり易い(岡安)
    ○ 政府と社会  理論問題
    ・国際機関、国際ガバナンス
    ・ICAとICFTUとで継続検討すべき。

    ○ 13の「disadvantage」を再度。
    ○ 差別克服(制度と自身の協同組合づくり)
    ○ 協同組合内の問題と社会政策的整備
    ○ そうは言っても政府は全然やらない国もある(タイ)
    ○ 考慮しすぎると「逆差別」な問題もおきる、きちんとバランスをとって。(パズ氏)
    ○ 15(1):member⇒政府が見直すのか。国会、市民でも良い。
    ○ 定期的にといっても必要ないのに改正するのか(李実官氏)

    他、「協同労働の協同組合」法制化について

    • この会議に「連合」からも参加するとの情報もありましたが、結局出席していませんでした。
    • 「市民会議」パンフレットの英語ダイジェスト版を配布。結構読んでいた。
    • 国際自由労連APROの鈴木さんには、日本にこの手の法律がない旨説明。



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