1969年ICAハンブルグ大会決議より(p.169)
「だがこうした中央集権化というプロセスはまた、単位組合から全国組織への権限委譲を意味するものでもある。意思決定は次第に、運動の中心にいる経験豊かな専門の経営エリートの手にゆだねられていく。これは、多くの場合、商品の品揃え、財務、人事、情報、価格設定、サービスといった基本的問題に関する単位組合の権限の一部を放棄することを意味する。こうした権限の放棄はふつう、運動の効率向上のために自発的に行われるので主権の喪失は多かれ少なかれ現実のものとなっている。ひとたび引き受けた義務は拘束的となり、責任は中央に永久的に委譲される。
民主主義という点からみた大きな影響は、組合員と経営執行部との間の溝が広がるということである。つまり、意思決定が長らく民主的運営の基礎と考えられてきた地域単位のものではなくなるということである。民主主義の骨抜きがさまざまな形で顕在化する可能性があり、事実そうなっている。組合員の無関心、集会への出席の減少、協同組合への忠誠という伝統の弱まり、若い人々からみた魅力の欠如、職員採用の困難、帰属意識と影響力を発揮したいという意識の喪失、忍び寄る官僚主義と硬直した体質、さらには、協同組合の最終目的、すなわち組合員の利益に奉仕するということさえかすんでしまうケースが間々みられる。」
戻る |