「21世紀ビジョンガイド」より
リーダーシップのスタイル:自己評価
 すべての組織は比較的予測可能な「ライフ・サイクル」を通じて進行している.そのサイクルの進行に従い,グループを前進させるためには,異なった 形態のリーダーシップが必要になる.これは,環境が異なれば適切なリーダーシップもタイプが異なることの単なる別の言い方であって,現状を理解することは 特定のタイプのリーダーを選択する必要条件でなければならない.
 ローレンス・ミルがその著書「野蛮人と官僚」(1989)で,組織の発達段階と関連させて我々自身のスタイルと行動を評価する効果的な一つのモデルを確立している.
予言者(the Prophet):
 この形のリーダーシップは,その組織や社会が実際上機能不良のとき必要とされる.このいわゆる予言者は,グループに対して一連の新しい可能性を明 確にし,人々がそのビジョンを共有し始めるようなやり方で,その可能性を伝えることができる「夢想家」である.しかし,予言者であることは危険できわど い.というのも,現在権力の座にある人たちは,人々を新しい目標やアイデアに向けて動かすことのできる人物には我慢できないからである.歴史を通じて,予 言者は絞首刑やもっと悪い最期を遂げてきている.

野蛮人(the Barbarian):
 予言者が最初にビジョンを明確にしても,そのメッセージを理解し成就するよう貢献する野蛮人が後に続かなければ,何も起こらない.自分たちの努力 に抵抗するする者には無情で残酷である野蛮人だけが,リーダーとして偉大なるが故に,自らのグループを海図のない危険な海に導くことができる.彼らは自分 の隊を愛する.彼らは食料が少なければ最初に食事を我慢し,長い行軍を馬から降りて歩く.戦いの最も激しい場所には他人を送らず,自分たちで行く.彼らは 隊とともに祈り,歌い,兵士が負傷したときには見舞いに行く.

マネージャー(the Manager):
 野蛮人がグループを新しい「領土」に導いた後に,マネージャーが出現しなければ本当には何も獲得できない.このリーダーは,道路が建設され,鉱山 が操業を開始し,資材が搬入されるよう手配をする.そのグループもしくは社会は建設業者や探検家でいっぱいになる.そしてエネルギーのレベルは彼らが努力 が結実する経験をしたとき高くなる.

官僚(the Bureaucraft):
 ついに建設や探検は終わり,システムは景気よく動き出す.ここでは,既にかなりの利益が生み出されてきたため,実際のところ,彼らの仕事を継続す る以外やることがない.官僚はこの「現状維持運営」を,実際上あらゆる新しい考えやあらゆる挑戦を妨げることによって,または既に存在するシステムと手続 きのあらゆる変更を妨げることによって管理する.しかし,システムは摩耗する.そして,社会はすぐにその初期の創造性とエネルギーを失ってしまう.成長は 減速徐行し,社会の低い階層の者が出現し,次第に暮し向きが苦しくなる.

族(the Aristocrat):
 最後に,貴族の登場.自分達の前任者たちが発展させてきた経済的恩恵を,いまなお小人数の者で受けられるよう管理する人々.彼らはその富と力によってますます孤立してくるので,グループの他の人たちから得たものを守るため,強大な軍隊をつくり上げる.