(1) 被曝に関しての書籍〜それでも原発と付き合いますか?
- 「低線量内部被曝の脅威—原子炉周辺の健康破壊と疫学的立証の記録」(緑風出版、2011年4月15日発行、ジェイ・マーティン・グールド著、肥田舜太郎・齋藤紀・戸田清・竹野内真理共訳)
〜サブタイトル通り、原子炉に事故がなくとも周辺に健康破壊をもたらす、乳がん発生率の異常な増加があることを統計学を駆使して立証した必読の書です。ちょと高いけれど(5,200円+税)。
〜原著は「The Enemy Within(内部の敵)」。1996年の発行。肥田医師の訳・自費出版だったものを、共訳で。奥付は2011年4月15日発行だが、3月には市場に。
- 「内部被曝の脅威—原爆から劣化ウラン弾まで」(ちくま新書541、2005年6月10日発行、肥田舜太郎・鎌仲ひとみ著)
〜この本は、広島の原爆の被ばく(被爆、被曝)、イラクの劣化ウラン弾のよる被曝を扱ってはいますが、上記の書籍と連動させると、原発事故による放射性物
質の飛散だけではなく、事故がなくとも原発から「染み出る」放射性物質と付き合わなければならない恐ろしさが迫ってきます。
〜上記の本に倣って、原発を中心に原発の影響がある100マイルの円(161kmの円)を描いたら日本全土がすっぽり入ってしまったそうで、原発の影響のある県とない県の比較が出来なかったと書かれています。ブラック・ユーモアにもならない。
- 「朽ちていった命」(新潮文庫 え-16-1、平成18年10月1日発行、NHK「東海村臨界事故」取材班)
〜1999年9月、茨城県東海村の「ジェー・シー・オー(JCO)東海事務所」で実際に起きた臨界事故。ウラン235の臨界点による大量の中性子線被曝の怖さ、それは細胞の染色体が破壊され、これ以上細胞分裂(いわば交代)ができなくなる、すなわち生命は朽ちるしかない、という壮絶なルポルタージュです。
〜JCOの事故は、直接の原子炉事故ではありませんが、「常陽」という高速実験炉で使うウランの加工作業中に起きたという
点で、「原発事故」の一種です。それも通常の軽水炉の3%ウランではなく、19%濃縮ウランを取り扱っていたのに、あいまいな3%用の裏マニュアルで作業
指示していたという点で、「労働問題」でもあります。