1999年度 事務局員候補・2年次事務局員 合同研修会
センター事業団近未来像へのアプローチ
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2000.03.01 労協連 岡安喜三郎 |
1.協同組合・労働者協同組合
- 協同とは「一緒に何かを達成する(実現する)」「一人ひとりではできないことを協同の力で実現する」
- 関心に応じて協同組合が作られる。生活の向上、貢献性のある仕事など。
- 協同組合の優位性は、人と人とのつながりの原点を組織の価値にしていること。
- 価値の実現には、一定の運営原則が必要になる。(→ICA七原則)
- 生産者の協同組合/利用者の協同組合/自立したものが協同する・協同して自立を促進
- 日本など一部を除いては法律的も当然のように存在するワーカーズ・コープ
2.「近未来像」へのアプローチ
【出発点】ほどほどの労協(ex.センター事業団)を求めるのか、価値ある労協を求めるのか。そして、事務局はそれにどう貢献できるのか→労協の社会的使命・役割
『どのような組織や制度も、まず第一に、人々が信じ、支持したいと思う考えや概念にもとづいて設立される』(「西暦2000年における協同組合[レイドロー報告]」、「協同組合の本質」の冒頭)
『企業の強みは、社外からのアイデアに対する自社の開放性に存在する。知識は、現代の経済競争の標準通貨になっている』(「知識の連鎖-企業成長のための戦略同盟」(J・L・バダラッコ.Jr著),序論)
【実践的には】仕方なく「使われる労協」にとどまるのか、積極的に選ばれる労協になるのか。
少なくとも、「労協組織を選ぶ」のは労協執行部ではない。執行部は自己変革のみ
組合員から、委託先から、利用者から、地域社会から、日本社会から(今および未来の)
他の協同組織から、NPOから、行政から、パートナーから
どうしたら選ばれるのか、どの様な人から選ばれたいのか(地域福祉、環境など)
【アプローチ方法】(の例)
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(1) 様々な諸関係の中で、顧客(利用者)と現場との関係を出発点とする。
(2) 協同労働の性格を明確にすることが大切。
(3) 協同労働事業体の経営論・マネジメント論が求められている。
(4) 「組織内連帯活動」を強化し、そこに情報インフラを活用する。
(5) 労協法制定運動と会わせ、総合的アプローチが必要となっている。 |
(1) 様々な諸関係の中で、顧客(利用者)と現場との関係を出発点とする。
- 「企業活動とは顧客の創造である」(ドラッカー)---二つの側面
(新たな顧客を増やすことと、既存の顧客のニーズを開発することは表裏一体)
- 苦情や文句も発展のバネ。「もういいよ」と言われたら最期(死期)を迎える。
- 様々な諸関係:組合員、委託先、利用者、地域社会、日本社会、他の協同組織、NPO、行政、その他/その関係は? 敵対関係、単なる商売関係、パートナー、リーダーシップ?
(2) 協同労働の性格を明確にすることが大切。
- 単なる「非雇用」「自立」だけではない。働くものどうしの協同が力になる事業体
かしこまって言えば、協同が経営資源になっている事業体
- 協同の活動は「金」に換算できない面を持っている。(気持ちだけではない助け合い)
(3) 協同労働事業体の経営論・マネジメント論が求められている。
- 経営危機、赤字は現象面、その本質は? 協同組合の経営とは?
- 協同労働の場は「チーム」である。責任者は必要。対外的な「使命」の表明も。
- マネジメントにマニュアルはない。あるのは原則と創造性だけである。「マネジメントは、単なる無秩序の群れにすぎないものを、一つのまとまりのある組織に変える。マネジメントは、人を統合し、生命を吹き込む器官である。」(ドラッカー)
- マネジメントの基礎:<Plan-Do-See>のマネジメントサイクル(年次、月次、週次、日次)
(4) 「組織内連帯活動」(「チーム間協同」)を強化し、そこに情報インフラを活用する。
- 事業所間連帯感のない「統一」は、単なる「集中化」。
- この「チーム間協同」が労協(ex.センター事業団)の未来を左右するであろうと推測できる。
- これが「ネットワーク組織型」活動の第一歩と言える。
(5) 労協法制定運動と会わせ、総合的アプローチが必要となっている。
- 近未来像を検討するにあたり、『先ず部署ありき、役割分担の中でどう努力すれば良いか』の手法より、労協総体の総合力をどう付けるか、調和をどうとるかの手法の方が有効性がある。
- 『協同の仕事』のイメージを広げ,「ネットワーク組織型」活動のもつ力に焦点を当てる.
<付録>『学ぶ組織について』の考察 〜持続可能な強みを持つ=不断に更新される強み〜