「西暦2000年の協同組合」(1980年)への実践的回答と、
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--ICAケベック大会の印象と、我々の課題-- |
1999年10月9日 岡安喜三郎
ICA大会参加報告は、栗木と私、萩原です。
8月の末に開かれたICAケベック大会は、生協で働いてきた私にとって、3回目のインパクトを受けた内容でした。スキルアップ・能力向上のための書物・セミナーは沢山ありますが、「これだな」と感じ、自らの生きるスタンスに影響を与えたのは、そう多くあるわけではありません。
「歴史を振り返ってみると、成長と変化の三段階を協同組合は通ってきた。」
その最初は、信頼性の危機。 第二の危機、経営の危機。
現在は第3の危機、思想的な危機。もし、協同組合が他の企業と同じような事業の技術や手法を使うなら、組合員の支持と忠誠を得るためには、それだけで十分だろうか? さらに、もし、世界が奇妙な、時には当惑させられるような道筋で変化しつつあるなら、協同組合も同じ道筋で変化していくべきなのか? その方向とは決別して、別の種類の経済的・社会的秩序を創ろうとしてはいけないのか? →今世紀末へ向けて協同組合運動の展望をはっきりさせる。
「ビジョン」や「ステークホルダー」という言葉を使い始めた契機になったもの
@変化しつつある経済の現実を受け入れる。A成功のためにビジョンを発展させ,それを広める。B店舗のカギとなるステークホルダーとの関係を発展させる。C勉学教育やビジネスを変えつつある科学技術を理解する。D責任をもって従業員グループの形成と指導を約束をする
ICAケベック大会の印象は、先ず各国からの報告です。もう一つの印象は、「協同組合運動の新しい波=新千年期への挑戦」(ICA会長報告参照)を大会全体で確認したことです。
各国の報告は、1980年のレイドロー博士の強烈な問題提起に対する実践的回答との印象を受けました。すなわち、1980年以降のストックホルムでの「4つの価値」、東京大会でのベーク報告、マンチェスターでの「協同組合アイデンティティについてのICAの声明--定義、価値、新原則」の流れを、各国で実践追求してきた報告ということになります。
はっきり言って、これらの点での日本の協同組合運動は実際のところ、一歩遅れている感をまたも受けてしまいました。たとえば、「リストラ」(上記「当惑させられるような道筋で変化しつつある」の一例)に対する実践的対応です。ICA大会では、この受け皿としての協同組合運動を!と提起していますが、日本ではどうでしょう。いじめ、高齢化など様々な社会課題が乱立するなかで、協同組合は社会の何に、どういう性格の問題に貢献していくことになるのか。日本こそ、21世紀への挑戦課題は多いと確信した次第です。
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